ヤマハC3Bグランドオーバーホール 相模原市H様
ヤマハC3Bグランド入荷しました
比較的状態はGOODしかし年数の経過でヘタリもあるがなかなかこの状態でも鳴る
これから今世紀最後というようなオーバーホールに入ります
今世紀最後というのはそうですね、私の年から計算しても後50年後は生きてはいないでしょうね。
弾き手にとっても直す側にとってもこれで最後の修理、くいのないように的確な修理を施していきます
こういうピアノが入荷するといてもたってもいられないのが義治氏。
細かい部分をよくチェック、
C3のベアリング部分の雑音が出ていた証拠
これらも1度フレームをおろしますのでひっくり返してベアリング部分のチェックが出来る
さび付いたアグラフ
ゲンもこう見るとさびが発生しているし、響板にもカビ発生、
カビの発生している響板
アクションを抜き取ります
そうするとペダルで動くダンパー駆動系が見えてきます
この部分もよくチェック意外に多いこの箇所の故障
ペダルボックス
これからゲンの張力を緩めていくために障害となるダンパーを取り外していきます
ゲンの張力を均等に緩めていきます
このピアノが作られて緩められるのは初めてのことです。
数十トンの張力がゼロに向けて緩められます
少しずつ緩める、一気に取り外すのはタブーとされています、ここらあたりは生き物と同じなんですね
時間の経過を確認しながらユックリピンをまわしていきます
チューニングピン抜き
弦枕もしんぴんにします
大きな観葉植物は邪魔、という事で右小さな観葉植物に変更
抜き上げかけたチューニングピン
全ての張力が取れゼロの状態
今一休み、2日このようにねかします。
フレームを固定してあるボルトを緩めます
フレームをおろす準備が出来ました。ここで必要なのは人間の数
200キロ以上の鉄骨をみんなで力を合わせておろします
足の上に落としたら間違いなく複雑骨折!!
ウルトラ危険な作業
重さが伝わるショット
同時にディアパソン183が進んでいます
手前側がディアパソン、向こう側がヤマハC3、フレームの肉厚も形状も全て違うんです
古い響板ニスを落とす作業
この作業は危険極まりない作業だ、剥離材を使用するために部屋の中の作業は危険だ!!
猛烈なにおいとノ戦いだ、ピアピットではこの作業とフレーム系の作業はナベサンの仕事と決まっている
マスクはしたほうがいいと思うよ!!女性人は誰も寄り付けないし液体を触れようともしない
手の潤いは完全に取れます、ぱさぱさな手になるんです、
ウレタンの手袋しか用を足さないくらい強烈なアセトン
ビニール系は全て溶かしてしまう。
ヤマハのロゴも全て消え響板むき出しにします
古いピンブッシュを抜いていきます
錆びて変色したアグラフ
アグラフも磨きなおします
ヤマハの色から荘厳なフィニッシュ
やはりこれのほうがかっこいい
色はスタインウエイブロンズ
マスキング、響板のマスキングは通常のものと少し違うのです。下塗りと本塗りが分かれます
響板下塗り塗装
1982年製ヤマハSG2000 中古で購入30年近い物なのだが
オールドヤマハの部類に入ってしまってきている・あえて今買う
理由は当時の音楽はこれあっての曲も多く
新品はちと手が出ないので中古をチョイスでも10万えんなり
ペーパーがけ
ヤマハデカールセット
響板塗装
ヤマハC3のアリコート、C3の独特な倍音はこの部分から発生します
アリコートの磨き
ピアノの駒部分のクリーニング
弦を張りこんだらこの部分は綺麗にクリーニングできないので今きちっと削りこみ
赤い弦枕も新品に造りかえられます
フレームボルトの頭も磨きます
ダナンパーフェルトの交換作業準備
弦振動を響板に伝える駒部分も綺麗にします
さあ男衆を集めてフレームがのります
天狗の鼻この鉄で出来た鼻を付け忘れると
悲惨。あとからは絶対に入らない
他で何台かつけ忘れたピアノを見たことがあるが
その後どうなったか解らない
鉛をかしめる、ゆるくなると雑音として鈍い音が発生する、意外に多い雑音原因
ダンパーレバーのスティックを修理
正確に動かないとタッチ〜止音まで影響するところだ
フレームボルトを入れて締めこみます
元の製造番号も打ち直し
レスローの弦が張りこまれます
ピンブッシュ穴あけ
ピンブッシュ打ち込み
均一に響板塗装
音は表面を走るためにデコデコな響板はNG、
弦枕も新品に交換されます
修理に関してうんちく~~ピアノ造りは面白くもうまくいかずつらくもあり、何といっても時間!!!
もう少しこうしたほうがいいと思ってもとりあえず他も進めないと間に合わないとかでないがしろになってしまう所
とかそうなるととりあえず感がすごい出てきて結局妥協点との戦いになってしまいます
しかし蓋を開けてみればその妥協したところはキッチリ。結果もしくはトラブルで返ってくるんですよ。
本当に面白いくらいです、25年ぐらい前にピアノを作ったときもそうだったなーって思ったことを思い出し
ナンカ自分の学習能力(ピアノはわかったつもりだった・・・・・若気のいたり)の低さ弱さ経験の浅さを認識させられた
かな。デモ気が付くだけいいかって勝手に都合よく考えて先輩に怒られ怒鳴られしそれからの今日まで毎日勉強ですね
初めて自分の中で「解らない」10日を費やしピアノをいじり(助けて)と先輩に泣き付き。そうしたらその先輩も
同じところで同じような経験をしてきた方で教えてもらった経験は今でも忘れられない思い出ですね
何日も動き~響きを追及してやっとたどり着き対処成功、!!どれほどうれしかったか、その時ほど達成感に浸れたことはなかった
修理屋は毎日勉強、ピアノから教えられることがすごく多く、ベテランという言葉はないんだよと先輩から言われたことと
利益追求型になったお店はすぐにつぶれるから。と20年も前から言われ続けられていた
私たちは毎日勉強毎日新米、だと肝に命じてこれからも突き進んでいきます
妥協は許されない仕事、みていてくださいませ、
張りかえる前のC3B
ピンブッシュもいろんな種類があるんです
ワイアーノ圧着密着作業
ハンマーとシャンクは今まさにドイツから空輸されようとしている
先日完成の連絡が入る、
やっと届いたレンナーのシャンクとアベルのハンマー
ハンマーテール側面の加工
ノーマルの状態というのは誰が弾いても不具合を感じないように基本的には快適性をメインにそこにレスポンス、安心して使える、良くもなく、わるくもなく、万人ウケの性能ということ、
カスタマイズ、弦の質感をいいものを、トルクを出す
音の美を追求する、という所に誰もが引き込まれていく
まさに上限のない分野にチャレンジということかもしれない。
では実際このピアノをチューニングカスタマイズを行う場合
ピアノに精通している人はいいとしても、それほど中身(アクション、メカ)
に詳しくない、という人はどうしたらいいのだろう、パーツを見せられても
どこに使うのか?なんなのか、どういった効果があるのか?などが解らない
人にとってはレンナーハンマーが全く効果不明となってしまう
またはお店に全てお任せではナンカ不安な気持ちも出てくる
本格的な知識までは必要ないにしても、やはり最低限の
知識はオカネかける以上は少なからず持たねばならない。
こういうところはカスタマイズの世界
チューニングつまり調律ではなく
メーカーがパッケージングした状態に手を加えノーマルと
違った状態にすることそれが即ちカスタマイズ
では何故カスタマイズするのか!、そのわけは人によりさまざまだが恐らくほとんどの人が自分だけの音に仕上たい
という思いからだろうか自己主張、または別の理由があったとしてもだ。
量産品では満足も納得も行かない、私たちがカスタマイズを施すわけで。
使えないというわけではなく、その存在ピアノ自体が楽しい楽器だということを
先ずアピールしておきたい普通に使えながらそれプラスの楽しみいい音
のあふれているピアノということだ
レンナーの新しいシャンクが取り付きました
シャンク側面にレンナーの刻印
ヤマハC3Bのハンマー植え込み作業
ハンマーシャンク〜〜棚板バランスキーピンとフロントキーピンの磨き準備
キーピン関係も摩擦抵抗により大きくタッチは変わるところでもあり、ピカピカが理想
レスロー弦のパッケージング500グラム
シャンク到着早く音だしを試したいC3Bだ
27日は飯本さんと北島君の結婚式、ナベサンも実に着慣れない礼服がギクシャクしていて面白い
ナベサンのネクタイを見た人はここ10年いないといわれている
おしあわせに。。飯本さん 月曜日より作業再開いたします
さらに精密な整調が始まりました
同時打弦をそろえないと音量は不ぞろいになるのです
ダンパーガイドホルダーのホール調整
ダンパーフェルト裁断
ダンパーはヤマハ純正GP用を使用します
ヤマハ純正ダンパー精密なダンパーフェルトです
どんなダンパーよりヤマハが一番いい
ペダル分解作業
平ダンパーカット
バスダンパー取り付け、必ずGPは合わせながら接着が基本
ヒンジがさびていたのではずして磨いて塗装
張り替えられたC3Bの弦
安定するまで1年半ぐらいかかるが
レスロー弦の音のきれいさは感じることができる
残すは1日半で完了します